「13才の誕生日は盛大に祝え!」
バー・ミツバは大好き。ユダヤ人の男の子が13才になった時に祝う儀式だ。よく生徒のバー・ミツバに招待された。 自分専用のヤマルカも持っている。まあ、簡単に言うと、カッパのお皿みたいな物だ。誰かのバー・ミツバ で間違って持って帰ってきてしまった。だいたいの生徒達は僕がヤマルカを頭にのせている姿を見て笑う。日本人の頭の上にヤマルカは似合わないのか。それとも、ただ小馬鹿にされているのか。儀式の時はヤマルカと髪の毛をつないでおくクリップを忘れてしまった。なので、儀式の最中はずっと、ヤマルカが頭から落ちないようにとそちらの方に注意が向いてしまった。それでも何度かは後ろの人が僕の肩を叩いて、床から拾ったヤマルカを僕に手渡してくれる。後ろの人だって儀式に集中できないだろう。だって、僕のヤマルカがまたいつ落ちるかわからないのだから。それよりバー・ミツバだ。
これは昔でいう元服みたいなものだ。大人の仲間入りだ。何ヶ月も前からこの儀式を迎えるために準備をしなくてはならなくて、宿題やれない状態が続くもいた。そりゃ大変だ。でも、この儀式の後はコミュニティから一人の大人として迎えてくれる。そのコミュニティでもっと責任のある内容の仕事をまかされる事になる。もし、君がユダヤ教じゃなくて、バー・ミツバという儀式がないのなら、自分で作っちゃえ。家族で話しあって、儀式を作っちゃえ。例えば、ある日、僕は手紙を受け取った。生徒のお母さんからだった。ジェフの13才の誕生会に招待された。ジェフが普段から影響を受けている6人の大人を選んだ。どうやら僕はそのうちの一人らしい。誕生日には町の小さなコテージに集まった。まず、おかしやジュースを手に自己紹介から始まった。もちろん僕は他の5人とは面識がない。その後、そこに準備されていた楽器をそれぞれ選び、好きなように音を出していった。ゴールは上手にハモれるように楽器で音を奏でる事だ。簡単なようだが、これがなんと1時間近くかかった。6人の中の一人が音楽苦手だったらしい。それから、一人づつ13才の頃の思い出を話し、ジェフにアドバイスをしていった。僕にとって13才の頃を思い出すのは簡単だったけど、他の人は年のせいかそんなに簡単な事ではなかったようだ。でも、それぞれ素晴らしいアドバイスをあげていた。最後にジェフが書いてきた手紙を読み上げた。これから13才になってどんな10代を過ごして行くか彼なりの決心を共有してくれた。僕にとってもかけがえのない日になった。他には、13才になったら、おばあさんと一緒に旅行にいく子がいた。そのおばあちゃんは世界のどこにでも連れていってくれるんだって。でもその生徒が全部旅行の計画を立て、予約も全部しなくてはいけないんだ。一人の生徒はガラパゴス諸島に行って、もう一人はペルーに行った。このおばあちゃん最高でしょ?
僕はよく生徒をサンフランシスコの桜祭りの御神輿を担ぎに連れていっていた。生徒達にとって、大きなイベントだった。だってこの神輿は体の大きい大人だけで担ぐ神輿だから。その100人の中に混じって担ぐ神輿で大人の仲間入りだ。だから、13才の誕生日には何か特別なイベントを開くといい。何でもいいんだ。クリエイティブに!そして、周りにいるいつもお世話になっている大人を招待してあげて。きっとよいアドバイスをしてくだろう。