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「新しいアイデアや価値に目を向けて」




 オデッセイ中学校は文化。文化ってちょっとの間そこに住んでみないとわからないよね。日本だって、それぞれの地方に文化があって、観光に行ったくらいじゃわからない。この学校で沢山の新しいアイデアや見た事もない所からの視点に出くわすだろう。そういった新しいアイデアや視点には心を開いて楽しんで!

 ここで一つ話をしよう。カナダにあるイエローナイフという町に犬ぞりとオーロラを見に行った事がある。サンフランシスコからバンクーバーまで車で行って、そこからイエローナイフまで飛行機で行ったんだ。そこで、谷川さんという日本人のカメラマンと出会ったんだ。谷川さんは奥さんとオーロラの写真を撮りに来てたんだ。僕は谷川さんとオーロラが出るのを待って、マイナス30度の寒空の中立っていた。僕はペンタックスのフィルムカメラを手にしてオーロラがいつ出てくるのかワクワクしながら空を見上げていた。すると、谷川さんは「この世には2つの違った写真家がいるんだ。」谷川さんも空を見上げながらつぶやいた。「よく写ってる写真」を撮る写真家と「すでにどんな写真かわかっている写真」を撮る写真家なんだって。谷川さんは僕に、「君は今撮った写真がどんな風に写っているかわかる?」僕は首を横に振った。「それは、カメラ屋さんに持っていって現像してもらった写真を見るまでわからない写真。その写真を見て、「あーよく写ってる」っていう写真なんだ。」と谷川さんは続けた。「私はシャッターボタンを押した瞬間にどんな写真が撮れたかわかる。」と空に向けてカメラを構えた。縦に伸びる緑色のオーロラが僕らの頭の上に出ていた。かっこいい!!と僕は思った。凍傷を気にしながらオーロラを撮った後、僕らはロッジ内に戻り、コーヒーを飲んで体を暖めた。



 谷川さんは世界の色々な国を旅して写真を撮っているらしい。モンゴルの友達の話をしてくれた。毎回、モンゴルに写真を撮りに行く時はモンゴル人の友達が住む移動式テントの中で寝泊まりするんだって。谷川さんがそのモンゴル人を訪ねた時はちょうどその移動式テントを立てていた。その手には使い古した赤茶にさびたトンカチを持っていたらしい。そこで谷川さんは「今度、日本から来る時にあたらしい工具セットを持ってきてやるよ!」と友達に言うと、友達は喜ぶどころか、困った顔をしていたらしい。そして「この右手と左手で持てる物が僕の財産なんだ。だから、君が工具セットなんて持ってきたら、他の大切な物が持てなくなるじゃないか。」と言った。


 君は大切な物を両手で持てる?両手どころか箱がいっぱい必要?プレーステーション3、本、ゲームカードなどなど。もしかしたら、君の大切な物は触れない物かもしれないね。この学校で大切な事は二つ靴を履く事なんだ。二つの靴は二つの文化だね。でも本当に、二つの靴を履くんだよ。一つは室内用、もう一つは室外用だ。もし、室内用で外に出たら、僕は「君はミソとクソを一緒に混ぜてるぞ!」って言うだろう。これは日本人がよく使うフレーズ。混ぜては駄目な二つの物を混ぜている時に使うんだ。

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