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「もし、それでも自分が誰か知りたかったら、

「---のように振る舞う」というコンセプトを使ってみて。」



 

 君がこの学校をドアを叩いた時、僕らは君の事をほとんど知らないっていっても良いだろう。だから、もし君が恥ずかしがり屋で、もし、そんな自分を変えたいのなら、もし「世界で私は1番フレンドリー」のように振る舞ってごらん。ちょっと世界は言い過ぎかもしれないけど。「町1番のフレンドリー」だったら現実的だ。一つお話をしよう。



 超人ハルクって知ってる?あの、緑色の大きな体をした男。T-シャツをビリビリに破って超人ハルクに変わるんだ。この学校にも実はハルクがいたんだ。ハックというハルク。入学したての頃、雨の中サッカーをしていて、ツルッと芝の上で足を滑らせて転んだ。なかなか起きないので、心配して近寄ったら、「コラー、空!」って手を上に突き上げて空に怒ってた。テストの時なんて、テスト用紙を配って30秒もすると、肩をガクガク振るわせ、手はグーに握りしめ、頭を机の上にガンガン叩きつけていた。期末テストの時は、頭を机の上にガンガン叩きつけた後、立ち上がって近くの壁に頭をぶつけていた。1年目と2年目はよく超人ハックをみたものだ。でも、3年になると、どうやら超人ハックのコントロールの仕方を覚えたみたいだ。切れそうになると、人差し指を出して、ちょっと待ってのサイン。空気を吸いに外にでる。超人ハックは出てこない。

 

 ハックが行った最後のキャンプ。僕は男子部屋の責任だったから、男子生徒のログハウスをチェックしにいったんだ。ハックのベッドは相変わらず汚い。知らない間に台風が通り過ぎたのか?それもハックのベッドの所だけ。ハックは僕が出会った人の中で一番整理整頓が苦手な生徒だった。キャンプの最終日は豪華なキャンプディナー。キャンプ場でお世話になった人達を招待してディナーをごちそうするんだ。もちろん全部手料理だよ。そんなディナーには少し綺麗な格好で行くんだ。フォーマルじゃなくたっていい。まだ着てない服なら何でもいい。ディナーの時間が近づき、ニックの所に行くと、ベッドは相変わらず、くしゃくしゃの服でゴチャゴチャになっている。「どのT-シャツが綺麗なのかわかる?」と僕が聞くと、「もちろん」と即答。そして、くしゃくしゃになっているT-シャツを一つ選んで鼻の近くに持って行き、クンクンと匂いを嗅いだ。「これ、着てない。」ニヤリとしながら、ハックは僕にそのT-シャツを見せた。さすがハックだ。どれもくしゃくしゃで未使用か使用済みかわからないT-シャツのゴミの中から未使用のT-シャツを選ぶなんて。でも、見た目はくしゃくしゃなので、すでに着たT-シャツっぽいが、匂いはしないので、ディナーのテーブルに座るゲストは助かるだろう。これがハックだ。

 

 でも、修学旅行で日本に行った時、ハックは違った。ハックは整理整頓がができていて、服などは綺麗に折り畳んでいた。次の日に着る服もきっちりハンガーにかけていた。僕はただそんなハックを見ていた。朝食にも必要なハンカチを持ってきていたし、時間も5分前行動だった。三日坊主ではない。修学旅行の間の3週間はこうしたキッチリしたハックだった。帰りの飛行機の中で偶然ハックが隣になった。僕は聞いた。「日本にいたハックは全然ちがったよ。なんで?」ハックは僕の目も見て「3週間の間、僕はチャレンジしてみたかったんだ。整理整頓ができるニック。時間を守れるニック。忘れ物しないニック。」と自信を持って言った。そう、彼は3週間の間、整理整頓ができ、時間を守り、忘れ物をしない人のように振る舞ったんだ。凄いだろ?無言実行とはこの事だね。僕は考えてみた。僕はハックに3年間どんなアドバイスをしたのだろうってさ。そうしたら、3年間ずっと成績表に書いたフレーズを思い出したんだ。「自分の弱みばかり見ないで、強みを伸ばせ!そうして、自分の秘めた可能性を開花させろ!」ってさ。

 

 ハックの弱みは整理整頓ができない所だった。強みは、やると決めたらやり抜くという根性。人は弱みを直そうとする時、弱みばかり見るよね。実は自分の強みを理解して、それを変形して、弱みにくっつけてあげればいいんだ。すると、ハックみたいに弱みを強みにして、強みも伸びる。また、ハックから学んだ。君もトライしてみれくれ!

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